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2018年8月10日 (金)

2018 関西支部会&相談会 -Q&A- ②

質疑応答より

Q.子供が「お腹が空く」というので、少しずつ何回にも分けて食べさせているが、それは問題ないのか?冷たいものを欲しがるがそれは問題ないか?

A.1回にたくさんの量を食べるほうが刺激が強いので、分けて食べるのは良い。冷たいものも悪くはない。特に今年のような猛暑の場合は、冷たいものも必要になってくる。ただし、食べ過ぎるのは、もちろん良くはない。

 

Q.子供が早期慢性膵炎と診断されたが、早期慢性膵炎の予後はどうなっているか?

A.早期慢性膵炎という概念が出来てからまだ10年ほどなので、その答えは出ていない。

一般的な生活の注意が必要で、食生活が大事になる。自己管理が大事になってくる。

 

Q.子供が小学校にあがると、食べるものに対して目が行き届かなくなるが、どのようにすればいいか?

A.子供に少しずつ言い聞かせること。お友達の親御さんに事情を話しておくこと。学校の先生も膵炎という病気について知識が殆どないだろうから、場合によっては医師から手紙を書いて貰ったほうがいい。

 

Q.IgG4が高いので自己免疫性膵炎ではないかと思われるが、IgG4の数値がどのぐらいになるとステロイドを使うのか?

A.IgG4の値でステロイドを使うかどうかは決めない。膵臓の形態の異常や炎症の強さで使用するかどうかは決める。膵管が腫れている時や、腫瘤形成性膵炎が疑われる場合には使う。

 

Q.CA19-9が高いが、膵炎で上がることはあるのか?

A.膵炎だけでもCA19-9は上昇する。消化管系の病気でも上昇する。基準値が37までとなっているが、膵炎の患者さんで50~60ぐらいの人は結構な割合で存在し、そういう患者さんは膵酵素と一緒に数値が上下動することが多い。右肩あがりで上昇している時には注意が必要。

 

Q.1日5食にした場合、お薬の飲み方はどうすればいいか?

A.フオイパンなどは1日3回、朝昼夜に服用し、消化剤は食べるたびに飲んだほうがいい。

 

Q.膵酵素が高いのに症状が出ていないが、こういう場合はあるのか?

A.そういう患者さんはいる。しかし、数値が高いということは体質的には膵炎を持っている可能性はあるので注意は必要。検査で経過観察をすることが重要。

 

Q.膵酵素の検査はアミラーゼとリパーゼだけだが、トリプシンも測定したほうがいいのか?

A.トリプシンの感度が高いが、アミラーゼとリパーゼで診断がついているのであれば問題ない。どれか一つでも膵酵素が引っかかっているのであれば、慢性膵炎かもしれないと考えて治療していくほうがいいと思われる。

 

Q.下痢がひどいが、どのタイミングで下痢止めを使用すればいいのか?

A.医学的な下痢と、患者さんが考える下痢とは違いがあることが多い。1日に10回近く水のような下痢が出るというのが医学的下痢。こういう下痢でなく、血便でもないのであれば、さほど心配はいらない。薬を服用するのではあれば、ビオフェルミン、ミヤBM等がいいのではないか。

 

Q.今は膵炎が落ち着いているので、何を食べてもいい。お肉もどんどん食べていいと言われたけれど、これまで厳しく制限してきたので抵抗がある。本当にいいのか?

A.どこまで食べていいのかということに対して、答えを出すのは難しいが、症状が出ていないのであれば、その食事で大丈夫ということになる。成長期には脂質が足りないとホルモンバランスがおかしくなるので、脂質は必要である。「無制限に食べてよい。」と捉えるのは問題あるかもしれないが、患者さんの歴史を見て「大丈夫」と医者も言っているのだろうから、常識の範囲内で食べるのは構わない。ただ、体調はその時々で変わるし、成長期には特に変わりやすいので、注意深く見守ることは必要。


Q.魚のたんぱく質のほうがいいのか?

 栄養学的に魚のたんぱく質のほうが、酸分泌が少なくなるということがわかっている。酸分泌が少ないほうが膵臓への負担が少ないので、酸という観点で考えると、魚のほうが良いと言えるかもしれない。

 

Q.膵がんの機序がわかったというニュースを見たが、膵がんを予防する薬が開発される可能性はあるのか?

A.膵がんには原因がいくつかあって、ある種のところはわかるが全部はわかっていない。大腸がんとほぼ同じ、二つの遺伝子変異が原因として確定している。しかし、それが何故変異を何故起こすかはわかっていない。原因の一つはK―rasという蛋白。p-53というがん抑制遺伝子の異常でも膵がんは出来る。

肝がんのようにウイルスが原因のがんであれば、がんを止めるとがんになる確率は下がるが、膵臓の場合だとウイルスが原因かどうかもわかっていないので簡単にはいかず、他の原因もわかっていないのが現状。

ただ、慢性の炎症を持っているとがんが起こりやすくなるので、慢性膵炎の治療をしっかりとすることが、膵がんの予防にも繋がると考える。

 

伊藤先生が何度もおっしゃられたことに

「心配しすぎなくてもいいけれど、注意はしてね。」ということがありました。

これをよく肝に銘じて、心配しすぎないよう、油断しないよう、患者本人もご家族も、膵炎とつきあうべきであると改めて感じた次第です。

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