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2018年8月10日 (金)

2018 関西支部会&相談会 -Q&A- ①

関西支部勉強会&交流会について

85日(日)、大阪病院さまの会議室をお借りして、関西支部の勉強会&支部会が行われました。

当日は10組、13名の方にご出席いただきました。猛暑にも負けずに会場に足をお運びいただき、本当にありがとうございました。

昨年に引き続き、伊藤先生のお人柄に助けられ、素晴らしい会となりました。

改めまして、ここでも御礼申し上げます。

 

当日のプログラムは

1. 伊藤先生のご講演「膵炎の最新治療について」

2. 質疑応答

3. エレンタールの試飲会

4. 患者どうしの交流会

となっておりました。

 

伊藤先生のご講演について

「膵炎の最新治療」というタイトルではありましたが、膵炎が増えている背景や膵炎が起こる機序、そして膵炎診断の難しさ、治療に使用するお薬等、患者にわかりやすくて取っつきやすいお話でした。

 

◎膵炎診断の難しさ

心窩部痛等の「お腹の症状」で受診した時に考えられる病名としては

・GERD(胃食道逆流症)

・慢性膵炎

・慢性胃炎

・FD(機能性胃腸症)

の4つがあるが、実はこの4つは症状が非常によく似ている。

従って、症状だけで膵炎とは診断することができない。

しかし、腹部症状があるときの検査基準として、膵炎の検査の必要性が書かれていないのが問題。

その結果、膵炎の診断もれが起こる。

 

◎膵炎をFDと診断される可能性

「お腹の痛み」等で受診した患者さんを、追跡調査の出来た100例で調べた結果。

膵酵素を調べた患者は100人中70人→30人は膵炎の検査をして貰っていない。

画像診断とアミラーゼでFDと診断→70人中26例

画像診断と複数の膵酵素でFDと診断→70人中23例

FDだと診断されていたが、慢性膵炎であった例は3例。(割合にすると1割)

アミラーゼのみで調べると70人中10人ぐらいしか、異常値にならない。

リパーゼ、トリプシン、膵pla2、エラスターゼ1など、複数の膵酵素を調べる必要がある。

初診時に異常なしでも症状が続いている場合には、3カ月後の検査で膵酵素上昇がみられる場合がある。

 

◎複数の病名を持つ患者の多さ

GERDや胆石など、複数の病名を持つ人は71例中、20例。

1つの病気だけで症状が出ているとは限らないので、(膵炎以外の)治療に反応したからといって

「膵炎ではない」ということにはならない。

 

◎早期診断の大切さ

慢性膵炎患者には膵がん発症率が高いという疫学的データがある。

だからこそ、早期診断、早期治療の必要がある。

 

膵炎の確定診断・・・男性に多い(アルコール性が多いため)。逆に女性は疑診例が多い。

 

◎膵炎のお薬

カモスタットメシル酸

抗トリプシン剤。膵炎の原因となるトリプシンの活性化を抑える。

古いお薬で、副作用は殆どなく、一定の効果があることがわかっているので使ったほうがいい。

 

・胃酸抑制剤

膵炎は胃酸分泌を抑制するとよくなる人が多い。

胃酸が増えると十二指腸で重炭酸を出して酸を中和する必要があるが、それは膵臓に負担が大きくなる。膵臓を休ませるためにも胃酸を減らす必要がある。

胃酸抑制剤には効果の強い順番に、P-CAB(商品名:タケキャブ)、PPI(タケプロン、パリエット、ネキシウム等)、H2ブロッカーとなる。

膵炎で使用するのはPPIが一番多い。

胃酸で効果がなくなってしまう消化剤もある。

胃酸が多い場合、腸で溶けることになっているリパクレオンでも、胃の中である程度失効することがある。

リパクレオンの効果をあげるためにも胃酸抑制剤は必要。

 

・消化酵素剤

食事をすると消化酵素を出す必要があるが、それは膵臓に負担が掛かる。消化酵素剤を補充すると、消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン等)の分泌が減るので効果的。また、消化酵素剤を腸が感じることで、痛みを緩和する効果もある。

 

ブロムヘキシン塩酸塩(ビソルボン)

蛋白栓の予防に効果がある。膵液が滞ると膵液が蛋白栓を形成し、これが膵石の原因になる。

ただし、慢性膵炎の病名ではビソルボンは使用できない。

 

・エレンタール

エレンタールは脂肪分がほぼ0。1食をエレンタールに置き換えることで、自然と脂質制限が出来るようになり、1日の食事でとる脂質量をさほど気にする必要がなくなる。

 

・便秘の改善も膵炎の症状緩和に効果がある。

膵炎患者でデータをとったところ、下痢症状よりも便秘の症状のある人のほうが多い。

 

◎遺伝性膵炎であっても、それ以外の膵炎であっても、治療法は同じ。

遺伝性膵炎に関しては、海外では重症例は多いが、日本では幸いに重症例はあまりない。日常生活での注意が大事になってくる。

また、胆石性膵炎であっても一度膵炎が起こると、膵炎は治りづらくなる。

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