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2018年8月

2018年8月26日 (日)

事務局【夏季休業のお知らせ】

いつも膵の会の活動に、ご支援頂きまして有難うございます。

事務局からのお知らせです。
*
8/27㈪~8/31㈮、メールによるお問い合わせをお休みさせて頂きます。
 (9/1㈯より、通常業務に戻ります)
*
ご迷惑をお掛け致しますが、宜しくお願い申し上げます。

2018年8月10日 (金)

2018 関西支部会&相談会 -Q&A- ②

質疑応答より

Q.子供が「お腹が空く」というので、少しずつ何回にも分けて食べさせているが、それは問題ないのか?冷たいものを欲しがるがそれは問題ないか?

A.1回にたくさんの量を食べるほうが刺激が強いので、分けて食べるのは良い。冷たいものも悪くはない。特に今年のような猛暑の場合は、冷たいものも必要になってくる。ただし、食べ過ぎるのは、もちろん良くはない。

 

Q.子供が早期慢性膵炎と診断されたが、早期慢性膵炎の予後はどうなっているか?

A.早期慢性膵炎という概念が出来てからまだ10年ほどなので、その答えは出ていない。

一般的な生活の注意が必要で、食生活が大事になる。自己管理が大事になってくる。

 

Q.子供が小学校にあがると、食べるものに対して目が行き届かなくなるが、どのようにすればいいか?

A.子供に少しずつ言い聞かせること。お友達の親御さんに事情を話しておくこと。学校の先生も膵炎という病気について知識が殆どないだろうから、場合によっては医師から手紙を書いて貰ったほうがいい。

 

Q.IgG4が高いので自己免疫性膵炎ではないかと思われるが、IgG4の数値がどのぐらいになるとステロイドを使うのか?

A.IgG4の値でステロイドを使うかどうかは決めない。膵臓の形態の異常や炎症の強さで使用するかどうかは決める。膵管が腫れている時や、腫瘤形成性膵炎が疑われる場合には使う。

 

Q.CA19-9が高いが、膵炎で上がることはあるのか?

A.膵炎だけでもCA19-9は上昇する。消化管系の病気でも上昇する。基準値が37までとなっているが、膵炎の患者さんで50~60ぐらいの人は結構な割合で存在し、そういう患者さんは膵酵素と一緒に数値が上下動することが多い。右肩あがりで上昇している時には注意が必要。

 

Q.1日5食にした場合、お薬の飲み方はどうすればいいか?

A.フオイパンなどは1日3回、朝昼夜に服用し、消化剤は食べるたびに飲んだほうがいい。

 

Q.膵酵素が高いのに症状が出ていないが、こういう場合はあるのか?

A.そういう患者さんはいる。しかし、数値が高いということは体質的には膵炎を持っている可能性はあるので注意は必要。検査で経過観察をすることが重要。

 

Q.膵酵素の検査はアミラーゼとリパーゼだけだが、トリプシンも測定したほうがいいのか?

A.トリプシンの感度が高いが、アミラーゼとリパーゼで診断がついているのであれば問題ない。どれか一つでも膵酵素が引っかかっているのであれば、慢性膵炎かもしれないと考えて治療していくほうがいいと思われる。

 

Q.下痢がひどいが、どのタイミングで下痢止めを使用すればいいのか?

A.医学的な下痢と、患者さんが考える下痢とは違いがあることが多い。1日に10回近く水のような下痢が出るというのが医学的下痢。こういう下痢でなく、血便でもないのであれば、さほど心配はいらない。薬を服用するのではあれば、ビオフェルミン、ミヤBM等がいいのではないか。

 

Q.今は膵炎が落ち着いているので、何を食べてもいい。お肉もどんどん食べていいと言われたけれど、これまで厳しく制限してきたので抵抗がある。本当にいいのか?

A.どこまで食べていいのかということに対して、答えを出すのは難しいが、症状が出ていないのであれば、その食事で大丈夫ということになる。成長期には脂質が足りないとホルモンバランスがおかしくなるので、脂質は必要である。「無制限に食べてよい。」と捉えるのは問題あるかもしれないが、患者さんの歴史を見て「大丈夫」と医者も言っているのだろうから、常識の範囲内で食べるのは構わない。ただ、体調はその時々で変わるし、成長期には特に変わりやすいので、注意深く見守ることは必要。


Q.魚のたんぱく質のほうがいいのか?

 栄養学的に魚のたんぱく質のほうが、酸分泌が少なくなるということがわかっている。酸分泌が少ないほうが膵臓への負担が少ないので、酸という観点で考えると、魚のほうが良いと言えるかもしれない。

 

Q.膵がんの機序がわかったというニュースを見たが、膵がんを予防する薬が開発される可能性はあるのか?

A.膵がんには原因がいくつかあって、ある種のところはわかるが全部はわかっていない。大腸がんとほぼ同じ、二つの遺伝子変異が原因として確定している。しかし、それが何故変異を何故起こすかはわかっていない。原因の一つはK―rasという蛋白。p-53というがん抑制遺伝子の異常でも膵がんは出来る。

肝がんのようにウイルスが原因のがんであれば、がんを止めるとがんになる確率は下がるが、膵臓の場合だとウイルスが原因かどうかもわかっていないので簡単にはいかず、他の原因もわかっていないのが現状。

ただ、慢性の炎症を持っているとがんが起こりやすくなるので、慢性膵炎の治療をしっかりとすることが、膵がんの予防にも繋がると考える。

 

伊藤先生が何度もおっしゃられたことに

「心配しすぎなくてもいいけれど、注意はしてね。」ということがありました。

これをよく肝に銘じて、心配しすぎないよう、油断しないよう、患者本人もご家族も、膵炎とつきあうべきであると改めて感じた次第です。

2018 関西支部会&相談会 -Q&A- ①

関西支部勉強会&交流会について

85日(日)、大阪病院さまの会議室をお借りして、関西支部の勉強会&支部会が行われました。

当日は10組、13名の方にご出席いただきました。猛暑にも負けずに会場に足をお運びいただき、本当にありがとうございました。

昨年に引き続き、伊藤先生のお人柄に助けられ、素晴らしい会となりました。

改めまして、ここでも御礼申し上げます。

 

当日のプログラムは

1. 伊藤先生のご講演「膵炎の最新治療について」

2. 質疑応答

3. エレンタールの試飲会

4. 患者どうしの交流会

となっておりました。

 

伊藤先生のご講演について

「膵炎の最新治療」というタイトルではありましたが、膵炎が増えている背景や膵炎が起こる機序、そして膵炎診断の難しさ、治療に使用するお薬等、患者にわかりやすくて取っつきやすいお話でした。

 

◎膵炎診断の難しさ

心窩部痛等の「お腹の症状」で受診した時に考えられる病名としては

・GERD(胃食道逆流症)

・慢性膵炎

・慢性胃炎

・FD(機能性胃腸症)

の4つがあるが、実はこの4つは症状が非常によく似ている。

従って、症状だけで膵炎とは診断することができない。

しかし、腹部症状があるときの検査基準として、膵炎の検査の必要性が書かれていないのが問題。

その結果、膵炎の診断もれが起こる。

 

◎膵炎をFDと診断される可能性

「お腹の痛み」等で受診した患者さんを、追跡調査の出来た100例で調べた結果。

膵酵素を調べた患者は100人中70人→30人は膵炎の検査をして貰っていない。

画像診断とアミラーゼでFDと診断→70人中26例

画像診断と複数の膵酵素でFDと診断→70人中23例

FDだと診断されていたが、慢性膵炎であった例は3例。(割合にすると1割)

アミラーゼのみで調べると70人中10人ぐらいしか、異常値にならない。

リパーゼ、トリプシン、膵pla2、エラスターゼ1など、複数の膵酵素を調べる必要がある。

初診時に異常なしでも症状が続いている場合には、3カ月後の検査で膵酵素上昇がみられる場合がある。

 

◎複数の病名を持つ患者の多さ

GERDや胆石など、複数の病名を持つ人は71例中、20例。

1つの病気だけで症状が出ているとは限らないので、(膵炎以外の)治療に反応したからといって

「膵炎ではない」ということにはならない。

 

◎早期診断の大切さ

慢性膵炎患者には膵がん発症率が高いという疫学的データがある。

だからこそ、早期診断、早期治療の必要がある。

 

膵炎の確定診断・・・男性に多い(アルコール性が多いため)。逆に女性は疑診例が多い。

 

◎膵炎のお薬

カモスタットメシル酸

抗トリプシン剤。膵炎の原因となるトリプシンの活性化を抑える。

古いお薬で、副作用は殆どなく、一定の効果があることがわかっているので使ったほうがいい。

 

・胃酸抑制剤

膵炎は胃酸分泌を抑制するとよくなる人が多い。

胃酸が増えると十二指腸で重炭酸を出して酸を中和する必要があるが、それは膵臓に負担が大きくなる。膵臓を休ませるためにも胃酸を減らす必要がある。

胃酸抑制剤には効果の強い順番に、P-CAB(商品名:タケキャブ)、PPI(タケプロン、パリエット、ネキシウム等)、H2ブロッカーとなる。

膵炎で使用するのはPPIが一番多い。

胃酸で効果がなくなってしまう消化剤もある。

胃酸が多い場合、腸で溶けることになっているリパクレオンでも、胃の中である程度失効することがある。

リパクレオンの効果をあげるためにも胃酸抑制剤は必要。

 

・消化酵素剤

食事をすると消化酵素を出す必要があるが、それは膵臓に負担が掛かる。消化酵素剤を補充すると、消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン等)の分泌が減るので効果的。また、消化酵素剤を腸が感じることで、痛みを緩和する効果もある。

 

ブロムヘキシン塩酸塩(ビソルボン)

蛋白栓の予防に効果がある。膵液が滞ると膵液が蛋白栓を形成し、これが膵石の原因になる。

ただし、慢性膵炎の病名ではビソルボンは使用できない。

 

・エレンタール

エレンタールは脂肪分がほぼ0。1食をエレンタールに置き換えることで、自然と脂質制限が出来るようになり、1日の食事でとる脂質量をさほど気にする必要がなくなる。

 

・便秘の改善も膵炎の症状緩和に効果がある。

膵炎患者でデータをとったところ、下痢症状よりも便秘の症状のある人のほうが多い。

 

◎遺伝性膵炎であっても、それ以外の膵炎であっても、治療法は同じ。

遺伝性膵炎に関しては、海外では重症例は多いが、日本では幸いに重症例はあまりない。日常生活での注意が大事になってくる。

また、胆石性膵炎であっても一度膵炎が起こると、膵炎は治りづらくなる。

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