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2019年8月

2019年8月12日 (月)

2019年度 膵の会関西支部勉強会について(報告)

今年度も夏休み期間中の7月28日(日)に、JCHO大阪病院様の会議室をお借りして、関西支部勉強会が行われました。

当日は11組、14名の方にご出席いただきました。猛暑の中、会場に足をお運びいただき、本当にありがとうございました。

大阪での開催も3年目となり、顔見知りの会員さんも増えました。一年ぶりの再会に、みなさんも嬉しそうでした。また、今回も講師としてJCHO大阪病院副院長の伊藤敏文先生にお越しいただき、先生のお人柄に助けられまして、充実した勉強会となりました。

伊藤先生と大阪病院様には多大なご協力をいただきました。改めまして、ここでも御礼申し上げます。

 

当日のプログラム

  1. 伊藤先生のご講演「慢性膵炎~最近の話題~」
  2. 自己紹介と質疑応答
  3. 膵炎食レシピの交換会
  4. 膵炎を抱えながら働くことについて(ディスカッション)

 

1)伊藤先生のご講演

◎リパクレオンは有効

世界的に消化酵素を膵炎のために使うという方向になっている。

先日行われた、ヨーロッパの膵臓学会でもリパクレオンは慢性膵炎には頻繁に使われていて、早期から使用することでかなり有効であるとされていた。

ただし、日本でリパクレオンを使用するためには「膵外分泌機能不全」という病名が必要であり、これはかなり慢性膵炎が進んだ状態を表すため、早期に使用することは難しい。

 

◎慢性膵炎患者の増加

1994年は人口10万人あたりの有病率28.5%、発病率5.4%だったのが、2011年には有病率52.4%、発病率14.0%へと増加している。

これは、医療者側が慢性膵炎を意識するようになったことで、以前には見つからなかった慢性膵炎が診断されるようになったことに加え、日本人の食生活が変化し、脂肪摂取率が増えていることが原因であろうと考えられる。

 

◎喫煙は慢性膵炎のリスク

喫煙は膵がんの比率が1.7倍になる。

たばこは慢性膵炎の発症因子になる。

喫煙は膵がんに対しても慢性膵炎に対してもリスク因子。

 

◎アミノ酸プロファイル(アミノインデックス)の調査結果

アミノ酸の濃度を調べる検査で、膵がんを見つけやすいとされている。

この検査で慢性膵炎の人と健康な人を比べると、いくつかのアミノ酸のパターンが変わってきていることがわかった。異常としては、アミノ酸の濃度があがることが多い。

慢性膵炎では、早期の時にアミノ酸が上がり、その後徐々に下がっていく傾向があるので、早期慢性膵炎を診断するのに有効な検査ではないかと考えられる。

 

◎慢性膵炎の治療の三本柱

1)原因の追究

 自己免疫性であれば、ステロイドや免疫抑制剤を使用。

2)症状に対する対応

 投薬と食事療法が中心。

3)合併症への対応

膵石・・・ESWLで破砕

  膵石は膵外分泌不全につながる。膵炎では膵外分泌障害、その後に内分泌障害(糖尿病等)が出てくる。ステント交換を繰り返している場合に手術(Frey術)が考えられる。

 

◎慢性膵炎の診断に有用な検査(膵酵素以外)

リンパ球の減少

栄養障害

アルブミン低値

栄養吸収不良

亜鉛

ICUから元気に退院した人とそうでない人を比べると、血中の亜鉛濃度が高い人は元気に退院

することが多いというデータがある。

肝臓の悪い人のほうが膵炎よりも低亜鉛状態の割合が多い。しかし、膵炎でも稀に低い人がいる。

亜鉛を補充する薬(ノベルジン=一日の薬価1200円)は非常に高価。したがって、あまりにも低い場合以外には、食事で補ったほうがいい。食事内容で亜鉛の数値は変わりやすい。

 

◎治療

・胃酸抑制剤(PPI、H2ブロッカーなど)

  膵液はアルカリ性である重炭酸も分泌する。胃酸が増えると十二指腸で重炭酸を出して、酸を中和する必要が出てくるが、それは膵臓への負担を大きくする。膵臓を休ませるためにも胃酸を減らす必要がある。

また、胃酸が多いと、膵臓から出てきた酵素が働かない。胃酸を抑えることで重炭酸を抑えることが出来る。加えて、酸が多いと酸で変性して消化酵素が効きにくくなるので、薬の効きをよくするためにも必要な薬である。

海外でも消化酵素を使う際には胃酸抑制剤が必要、膵外分泌機能不全にも胃酸抑制剤が必要、と書かれるようになった。

*胃酸抑制剤

PPI・・・パリエット、タケプロン、ネキシウムなど 

P-CAB・・・タケキャブのみ

H2ブロッカー・・・ガスターなど

 

◎消化酵素補充療法

慢性膵炎診断ガイドラインにも、消化酵素の大量使用は効果的であるとされている。

消化酵素の内服で痛みが下がるというデータがある。

早期から使用するほうが効果的。

消化酵素は豚の膵臓から抽出するので、豚のアレルギーがない限り使用には問題ない。

合併症も殆どない。

 

◎脂質を制限する理由

胃の滞留時間が伸びる→酸分泌が増える→膵臓に負担が掛かる

家族がいて食事のメニュー作りが難しい場合には、エレンタールを1日1包服用すると、一日でのトータルの脂肪摂取量が減るので、1食をエレンタールに置き換えるという食事方法も良い。

 

◎膵炎に決定的な治療法はない

フオイパン、消化酵素補充(リパクレオン)、PPI、栄養療法(エレンタール)等の投薬治療に加え、食事療法を含めた生活習慣の改善しかない。

 

 

2)質疑応答

Q:亜鉛の検査はしておいたほうがいいか?

A:一度は測定しておいたほうが良い。亜鉛は栄養状況を表している。赤身の肉、魚、牡蠣に亜鉛が多く含まれている。

 

Q:膵炎は途中で膵がん発症率があがるというデータがあるが、これについてはどうか?

A:疫学的な研究で、膵がんの発症率が高いというデータはあるが、それは早期慢性膵炎という概念が出来る前のこと。早期慢性膵炎が入るようになったので、今後はある程度率は下がってくるのではないだろうか。しかし、早期慢性膵炎であっても高リスクではあるだろうから、定期的に通院して検査したほうがいい。

慢性膵炎を持っている人がどれぐらいの頻度でがんを発症するかについては、早期慢性膵炎の予後(現在はデータは2年しかない)がわかってくる必要があり、早期の人が一生早期なのか、そうではないのか、ということについては、今後5年、10年のデータが必要である。

 

Q:IgG4が低くても自己免疫性膵炎ということはあるか?

A:IgG4が陰性でも、ステロイドが効けば自己免疫性膵炎と診断することもある。膵生検で診断がつく人もいるが、必ずしもそこまでの検査は必要ではないのではないか。ステロイドの内服で症状が落ち着くのであれば、ステロイドを使うのも良い。ステロイドもうまく使えば怖い薬ではない。

 

Q:膵管合流異常だと慢性膵炎になるものか?

A:十二指腸のファーター乳頭には筋肉があり、食べ物が出ると消化酵素が必要だという命令が出る。合流異常でうまくつながっていないと調節機構が弱くなるので、食事等で刺激がかかると圧力がかかり膵液が活性化するので、膵炎が起こりやすくなる。

 

Q:主治医には小児に脂質制限をしすぎると成長障害が起こるので、脂質はあまり制限しなくてもよいといわれるが、膵炎の情報を調べると脂質を制限したほうがいいと書かれている。どうすればいいか?

A:成長期に脂質制限しすぎるとよくないのは事実。しかし、痛みがある状態が続くのであれば、ある程度の制限は必要になってくるのではないか。あまり制限しすぎても子どもにはストレスがかかってしまうので、薬物療法をしながら、症状をみていくいしかない。

 

Q:形態的異常が原因の膵炎の場合、根治には手術しかないと言われるが、ある程度の年齢にならないと手術が難しいため経過観察しかないといわれている。しかし、経過観察とはいっても子供に出せる薬はあまりないとのことで、ビソルボンとフォイパンのみである。子どもに薬はあまり使えないのか?

A:ビソルボンは膵液の流れをよくする働きがあるので、良い治療ではないかと思われる。フオイパンは子どもへの使用経験は殆どないので、使うのが難しいという側面がある。胃酸抑制剤のネキシウムが子どもにも適応が広がった(小児には顆粒)ので、これを使用してもいいかもしれない。主治医と相談されてみてはいかがか。叉、ベリチームは子どもでも服用できる。

 

3)膵炎食レシピ

みなさまからいただいた写真つきレシピを配布し、見ていただきました。

可愛らしいお弁当がたくさんあって、膵炎でも工夫次第で食事が楽しめることがよくわかりました。

 

4)膵炎を抱えながら働くことについて

 患者さん同士で意見交換をしました。

 

また、来年も夏頃に開催する予定です。

今回、ご都合が合わなかった方も、来年は是非お越しくださいませ。

 

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