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2022年2月

2022年2月22日 (火)

製薬会社での対話会

suikaiのきくちです。

今日は、製薬会社研究所の方々との対話会に参加させていただきました。

私は、小児の膵炎患者さんがどのような生活を送っているのか、患者さんやご家族がどんなことに困っているのか、

膵炎が起こった時の症状、子どもの様子、どんな時に起こるか、痛みの強さはどんなものか等をお話しました。

それについて、研究者の方から質問を受け、また不明な点は更に説明をしました。

質問は意外なものが多く、「なるほど! そこは、もっと説明しないと気付いてもらえないんだな」と感じました。

また、研究者の方からは、海外の学会に出席して知った「海外の小児膵炎患者の生活の様子」などを教えていただきました。

食事(実際のレシピ集など)について、学校で痛み緩和対応があることを知りました。

大変興味深く、勉強になる時間となりました。

会の方と情報を共有し、ぜひ今後の生活に活かしていきたいと思っております。

2022年2月13日 (日)

2/6ZOOM相談会 質疑応答

Q:EUSが初期の慢性膵炎を見つけるのに効果的とよく聞きますが、どのような位置づけの検査でしょうか。

A:
膵臓学会の慢性膵炎の早期慢性膵炎の診断基準にはEUSは必須となっています。
ただし、内視鏡による検査ですので体への負担もあります。
血液検査とMRIで一定の診断がついていて悪性の可能性が低いのがわかっていれば、
慌ててする検査ではないのではと思います。
また、時間的にはMRIは20分ぐらいなのに対し、EUSはほぼ全身麻酔で数時間掛かります。
EUSは確かにいい検査ですので、状況に応じて検査を使い分けています。

 

Q:1年に5回ほどCTを受けていて、被ばく量が気になります。

A:
被ばくはしないほうがいいですが、必要があるのであれば、やらざるを得ないでしょう。
膵臓の腫瘍性の病気を見つけるためにはCTのほうが優れています。
現在は過去の機械と比べると被ばく量もかなり抑えられています。
主治医は必要に応じて検査されているでしょう。
気になるようでしたら、MRIを希望されて相談されてください。

Q:遺伝子異常について。若年性で発症する遺伝性膵炎と20~30代に多い遺伝性膵炎とでは、
 どちらも遺伝子異常なのに何故発症時期に違いが起こるのでしょうか。

A:どの遺伝子に変異があるかによって異なり、決定的なところに変異があれば発症が早い。
ベースには遺伝子異常があっても、遺伝子異常があるとかならず発症するというわけではない。
生活習慣が加わって発症することもあるし、両親とも変異を持っていると発症しやすいと考えられます。

 

Q:遺伝性膵炎かどうかわからないのですが、遺伝性膵炎の可能性は高いのでしょうか。
 脂質制限をしているのになぜ再発するのでしょうか。

A:
子供の場合は遺伝性膵炎の可能性が高いと思われます。
大人の場合も突然脂質に反応して膵炎になる場合もあるし、
脂質制限に気を付けていても発症する場合がある。
想像の範囲であるが、膵臓は自律神経の影響を受けているので、
何かの原因でそこに狂いがあって、膵炎が起こる可能性もあるかもしれない。
お子さんの場合は、発作が起こったときの前に食事や生活で何か変化があったことがないかを観察してみてください。

 

Q:乳頭切開とステント留置治療をしています。
 膵管の形が特殊だけれどもバリエーションの一つで、内視鏡が入れにくい形と言われています。
 膵管の形状と膵炎は関係しますか。

A:
膵管の流れは大事です。
例えば、大人によくある胆石性膵炎も膵液の流れが石のせいで悪くなっておこるものですし、
膵管合流異常症だとバリエーションを越えた異常となります。
膵管の狭窄が生まれつきある方はいます。
膵液の流れが悪くて膵臓に圧がかかると、
それで膵炎を起こしてしまうということが残念ながらあります。
治療は今やっておられるように、器質的な問題に対して、
物理的にステントを入れることで対応するしかないのかなと思います。

 

Q:膵全摘と膵島自家移植の手術をして、まもなく3年経過します。
 現在、インスリンフリーで食事制限もなく過ごしていますが、術後に胆管炎をよく起こすようになりました。
 胆管炎を起こさないように気を付けることはありますか。
 また、リパクレオンを飲んでいても便が緩いときがあります。

A:
膵臓の手術をしたことでかなり大きく消化管を再形成しているので、
逆行性の胆管炎を防ぐようにはしているのですが、ファ―ター乳頭の機能がなくなっているので、なかなか難しいとは思います。
できるだけ消化の良いものを食べる、胃腸運動機能を守るように薬の組み合わせを考えていくしかないかもしれません。
軽い胆管炎であれば2、3日の投薬で治まる場合もありますので、
少し調子の悪い時には早めに予防的に投薬できるように、主治医に相談をしてみたらどうでしょうか。
便の緩さに関しては、腸内細菌の影響もあるかもしれないので、ビオフェルミンの併用も一つの方法かもしれません。

 

Q:ビソルボンについて。ビソルボンの生産が終了し、今後はジェネリックになりますが、これについてはいかがでしょうか。

A:
ジェネリックが手に入るだけでも良いと思います。
現在、色んな薬に出荷制限がかかっているし、手に入らない薬が市販薬に切り替わっているわけでもないので、
八方ふさがり状態で、従来よく効いている薬も手に入りづらくなってきています。
行政がジェネリックに移行していった弊害のようなものが出てきているので、
現状をいろんな形で行政に対しても伝えていくしかないでしょう。
行政は医者が言うよりも患者さんが言うほうが動いてくれます。

 

Q:小児科から内科へ移行するとき親はものすごく不安になりますが、一生小児科にかかるわけにもいきません。
 小児科と内科では何が違うのでしょうか。

A:
神経系のような特殊な疾患を除いては、小児膵炎から大人の膵炎への移行は、
消化器内科では抵抗なく引き継いでいます。原則論としては治療方針が変わりません。
大人としての注意点というのは勿論出てくるでしょうが、そこさえ注意してもらえればよろしいかと思います。

 

Q:膵炎は疾病か障害なのかが難しい問題です。
 大人になって膵炎をもって働かなくてはいけないときに、膵炎患者のためのサービスがないです。
 障害になればサービスを受けられるのに、今後、どのようになっていくでしょうか。

A:
難しい質問です。肝炎などは国からかなり助成が出て劇的な治療が出来るようになっています。
難病として治療や検査をできる病気もあり、残念ながら病気によって格差があるのが現実です。
患者さまや家族からの情報発信が必要です。
患者会の人が動いて訴えていかないと行政は動きません。
若年性の膵炎や急性膵炎など、病気としての認識が世間に薄く、現実を知らないことが多いようです。
医者は医学的な面の情報発信をするので、患者さん側も声をあげていくことが大事だと思います。

 

Q:膵炎患者用の薬の開発の現状、海外の治療の違いなどありましたら教えてください。

A:
慢性膵炎の新しい薬についての情報は現状ありません。
去年、慢性膵炎ガイドラインが変わりましたが、
現在日本では内服薬としてはフォイパン、リパクレオンしか出ていません。
(ただし、リパクレオンは非代償期のみが適応。)
酸分泌を抑える薬(PPI)は膵炎のガイドラインに載っていません。
ただし、海外ではガイドラインでPPIを推奨しています。
リパクレオンのような高濃度の消化剤が出る前は胃の中で溶ける消化酵素が多かったために、
消化酵素の働きをよくするために酸分泌を抑える薬(PPI)を使いましょうと書いてありました。

最近のアメリカの臨床消化器病学会のガイドラインではPPIを膵炎の治療に積極的に使いましょうとなっています。
実感としても慢性膵炎の人に効果はあるように感じています。
アメリカではPPIは薬局で買えるようになっている薬ですし、海外では使いやすい薬です。
副作用としては酸が落ちることで高齢者の場合に誤嚥性肺炎の心配がある程度なので、
心配するほどではありません。

 

Q:現在、最後に膵炎を起こして2年経ち、少しずつ脂肪の摂取量を増やしているところです。
 どのようにして、 脂質を摂る量をあげていけばいいか教えてください。

A:
週単位、月単位で様子を見てください。急に上げるより少しずつあげるべきで、匙加減が大事です。
子どもさんの様子をみながら調節してあげて下さい。

 

Q: 血液検査で採る量を少なく検査する方法がないでしょうか。(子供にはつらい)

A:
血液検査から膵炎がどうなっているのかをみようとすると、膵酵素の検査は外注が多いので、採血量が倍になってしまいます。
他に栄養障害がないか、血中で調べておきたいとの観点からも検査をしています。
特に子供さんの場合、栄養が足りてなくて成長障害が起こっていると取り返しがつかなくなるので、
どうしても多くなってしまいます。
ご理解ください。

 

Q:高膵酵素血症でアミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1が2倍から5倍の状態で続いているのですが、
 数値が高いだけなら必ずしも治療が必要ではないこともあると言われました。
 大人の患者さんの場合に、画像上の異常がなく高膵酵素血症の場合には、どのような治療をされていますか。

A:
膵酵素が高いという数字だけを見て病気が悪くなったという判断はしないでください、という話は患者さんにしています。
症状がないのであれば、服薬は必要ないこともあります。
ただし、潜在的に膵炎を起こす可能性はあるので、日常生活は気を付けてください、ということになります。
服薬だけが治療ではなく、食生活も治療になります。
また、一度膵炎を起こすとなかなか数値は下がらないのが現実です。
過去に起こしたことがあるせいで高いという可能性もあるので、
日常生活に問題がなければ服薬は必要ないこともある、ということなのだろうとご理解いただいたらいいのではないでしょうか。

 

Q:強い痛みが出る時には炎症を起こしていて、それが膵臓の線維化につながるということなのでしょうか。

A:
すぐに線維化することはありません。
炎症を繰り返すと膵臓が硬くなり膵管が狭くなったりします。
普段の炎症を抑える治療や食生活を考えていきましょう。
膵管が狭くなったらステントも必要になるかもしれません。
また、膵管が狭くなると膵嚢胞が出てくることも危惧されるので、
おそらく、膵臓の状態を見るために現在は検査頻度を上げているのでしょう。

 

Q:ステントを入れた場合は3カ月ごとと聞いているのですが、入替の時の入院期間について教えてください。

A:
ステントの入れ替えだけなら短期入院ですみます。
初回は手こずりますが、次回からはスムーズにいくことが多いです。

 

Q:痛みがある時は救急外来でも受診してもいいのでしょうか。

A:
痛みがある時はすぐに受診されてください。
重症化すると余計に時間がかかります。
慢性膵炎の急性増悪は急性膵炎的な症状が出てきます。
急性膵炎の場合は初期の輸液点滴が効果的です。
初期に輸液量が少ないと重症化しやすいというデータもあります。
我慢せずに受診されてください。

 

Q:ストレスも(膵炎と)関係はありますか。

A:
膵臓の働きは胃腸と関係あります。
胃腸の動きはストレスと関係あるので、膵臓もストレスで調子が悪くなることもあります。
上手に休憩して、ストレス解消をうまくやってください。
自己管理を身につけていきましょう。
現状維持が大切ですので注意して暮らしてください。

 

Q:家族性がないので特発性だと言われていて、遺伝子検査をする必要はないと言われたのですが?

A:
遺伝情報を知ることは大切ですが、膵炎に関しては遺伝情報がわかってもわからなくても治療法は変わりません。
遺伝子異常があるからといって100%病気が出るわけでもありません。
遺伝子を知ることよりも、(膵臓が)悪くする要因を意識して暮らすことが大事です。

 

Q:膵臓が半分ぐらいのボリュームだといわれているのですが、膵炎が進んでいるということでしょうか?(21歳男性)

A:
年齢から考えると進んでいると言えるでしょうが、注意して生活して、
きつい増悪を繰り返さないようにしていけば、現状維持でやっていくことはできると思います。

 

Q:最近、頻繁に膵炎を繰り返しており、現在、脂質は1日10gです。
 脂肪制限のほかに食べる量、食べる速さ、食べ方に問題があると言われて、
 食事を1時間ぐらいかけて食べるように言われているのですが、
 脂肪制限の他に食事をする上で気をつけることがあれば教えてください。(4歳)

A:
基本的には主治医の先生のおっしゃる通りだと思います。
分割食といって、13食にこだわらず、分けて食べたりしてみてください。
朝ふつうに食べて、10時頃少し、昼は少し量を減らして、
3時頃おやつ、夕ふつう、夜食少しのような分割食です。
総摂取量を16回ぐらいに分けて食べると効果があるかもしれません。
慢性膵炎では食事量が多いあとに痛みが起こることが多いので、分割食は効果があると思います。

 

Q:現在4歳ですが、脂質制限を続けていくと成長とともに改善されていきますか。

A:
自分の体に対する注意がよりできるようになると多少は変わることが期待できますが、
年齢が進んだからといっても膵炎が起きる体質は変わらないので注意を続けることです。
学校を休まずに元気に通うために、食事の意味を教育的にご家族からお話をしてあげてください。

 

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今回も、患者一人ひとりの視点に立って、真摯に答えてくださる伊藤先生に、
参加者全員、穏やかな気持ちになることができました。
病気を治すことは大事ですが、うまく付き合っていくことも大事ですね。
そして、患者会の一番の目的は、行政に訴えていくこと。

現在、コロナ渦でその点が止まってしまっていますが、
「この活動をしっかりやっていかなければと」改めて思った次第です。
伊藤先生、本当にありがとうございました。
伊藤先生は、今後もアドバイザーを続けてくださいます。
次回開催の際には、みなさん、もっと気軽に参加なさってくださいね。
(小児のママだとか、患者だとかの垣根は取り払いましょう。)

2/6ZOOM相談会報告

膵の会のアドバイザーを務めていただいております、大阪病院副院長の伊藤敏文先生をお迎えし、

2年半ぶりに関西支部主催の患者会を開きました。

コロナ渦ゆえ、ZOOM開催となり、離れたところからでも参加できる便利さと、

空気感が伝わりづらいもどかしさとオンラインの良さも悪さも感じました。

予定通りに運ばないこともあり、参加された方にはご迷惑もおかけしました。

これに懲りず、次回からも参加してくださることを願っています。

質疑応答の前に、伊藤先生の病院における膵炎患者の傾向を、教えていただきました。

 

膵炎患者の傾向

患者の男女比率  3466

患者の平均年齢  66

原因 

 男性・・・アルコール性が57.5%と一番多く、次いで特発性が35%。

 女性・・・特発性が68%と最も多い。

膵管合流異常は全体の3.4%、自己免疫性膵炎は2.6

 

受診時の症状で多いもの

 腹痛or背部痛・・・33% 

 腹部または背部不快感・・・11

 下痢・倦怠感・・・ともに2

背部痛や腹痛で受診するきっかけとなっている人が多い印象です

 

血中酵素異常

 アミラーゼ異常  35

 尿アミラーゼ異常 11

 リパーゼ異常   23

 トリプシン異常  59

 膵PLA2異常  47

よく言われているように、トリプシンに異常を示す場合が一番多いようです。

画像検査異常

 膵嚢胞・・・・・・・・46%(平均径8.4mm)

 主膵管拡張・・・・・・14%(平均径4.1mm)

 膵管合流異常・・・・・4

 膵腫大・・・・・・・・4

 膵石・膵内石灰化・・・4

 膵委縮・・・・・・・・3

 膵内脂肪浸潤・・・・・2

 画像異常なし・・・・・32

 

質疑応答は次の記事でアップします。

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